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お待ちかねの第二回目。今日はTAD E-1のユニットから見てゆきましょう。



最大の特徴はCSTと呼ばれる2wayの同軸ユニット。真ん中にある高域再生部分の「ベリリウム製振動板」はあのTAD REFERENCE1と全く同じものを使っています。さすがに周辺部の中域再生部分の振動版。これはベリリウムではなく、マグネシウムを使っています。さて、そのツイーター、なんと高域再生限界が100KHz!どうしてこんなことが出来るのか?それは最高の素材(ベリリウム)を使い、巧みな設計(分割振動を上手く利用する)を行い、厳密な生産管理(抜群の高精度)を実践しないと達成できないのでありました。抽象的で良く分からん?大変失礼致しました。出来る限り分かりやすくご説明したいと思います。




高域用の振動板で重要なポイントは何か?軽いこと。丈夫なこと。固有の音が少ないこと。加工が容易なこと。出来れば価格が安いこと。などなど。
特に軽くて丈夫なことは重要です。軽くて丈夫な振動板は速く振動させることが出来ます。しかし、ある限度まで来ると振動板の部分部分が違った動きをするようになります。全体で動く領域をピストンモーション領域。それを超えてくると分割振動領域に入ります。まずはこのピストンモーションの領域を高い周波数のところに持ってこないと広帯域の再生は出来ません。そのために軽くて丈夫な振動板が必要になるのです。
さてここからが腕の見せ所。ピストンモーション領域を超えると分割振動を起こすようになるわけですが、この分割振動を巧に利用するのです。つまり広い帯域で上手に分割振動を発生させて、固有のくせを抑えながら高い高域限界を得るものです。数ある製品の中には、この一体振動振動領域と分割振動領域の間にわざと大きなピークを作って、それを製品の個性として利用している例もあるようですが、少なくともこのTAD E1に関してはそういった「あざとさ」を一切感じません。
昔は職人のノウハウで上手に分割振動をさせていたようですが、現代のTADは職人技プラス高度なシュミレーションを用いて最適な構造(形状のみならず、厚さの分布、ボイスコイルとの接合方法、などなど)を導き出しているのだと思います。一つの発音体でこれだけフラットで広帯域なものは、なかなか出来ないと思います。


お次は一番大切な中域部分のスピーカー。振動板の素材はマグネシウム。口径は14cm。浅めのコーンで、形状は曲率の大きなカーブド。比較的ストレートに近い形状で明るめの音質を目指していると思います。多分、数KHzのピークが出ないぎりぎりの曲率を設定しているのでは無いでしょうか?確か、高品位のマグネシウム振動板を作っている所は国内に2社あって、どちらで製造している製品も高価なものであると聞いた事があります。そうでしょうね、純度の高いマグネシウムをしわやクラック無にプレスするのは大変な技術だと思います。また、ベリリウムもマグネシウムも防錆加工をきちんと行わなくてはなりません。スピーカーの振動版として大変優れた特性を持つ一方、使いこなしの大変さがお分かりいただけると思います。





スピーカーユニットというとどうしても振動版に注目が集まりますが、フレームも大事な役割を担っています。なんと、削りだしのフレームです。何で削りだしがいいのか?メリットいろいろ。要点は2つ、形状の自由度が高いこと、内部に応力が残らないこと。その他にも細かいことは数あれど、それは専門の書物を読んでもらう事にして、ここでは影響の大きいポイントを挙げたいと思います。フレームは普通プレスか鋳造で作ります。比較的ローコストな製品は鉄板をプレスして作る事が多く、高級機になるとアルミキャストが主流です。どちらも型を用いて作りますので、形状の制約が多いのです。また、残留応力も重要なポイントで、音を濁す原因のひとつです。削りだしという手法を用いることで、余計な応力から逃れているのです。 TADの工夫はこれだけに留まりません。せっかく削りでフレームを作るのならと、磁気回路も同時に作りこんでしまっています。通常はポールピースやバックプレートなど、別々に作って組み上げるのですが、出来るだけシームレスにしようというものです。磁気のロスを減らすのはもちろん、パーツの数を減らせるので「鳴き」も減少できます。また、性能のばらつきを抑えることにもつながります。
磁石はネオジムを使用。現時点で最高のエネルギーを持つ永久磁石です。(このネオジム磁石は日本の発明なのだそうです)これを用いておかげで磁束に余裕が生まれますから、振動板がストロークしたときでも、強い磁束の中に留れる構造を実現できた。と推測します。


ウーファーは18cm口径が2本。これは単純にパラレルに接続され、キャビネットも共用しています。こちらも磁石はネオジムを用いているようですが、ウーファーの磁気回路は強力なほど良い訳ではなく、キャビネットの都合でも最適値が変わります。多分、このキャビネットサイズに合わせて磁力を求めた結果、(これだけの製品で、磁石のサイズをケチってコストダウンするとは到底思えません)やや能率は低くなっています。





余談ですが、88dB/2.83V/m と表示されていますが、このシステムは4Ωですから2.83Vを掛けると電力は2Wです。1Wでの表記に書き改めると、85dB/W/m とあらわせます。このサイズのウーファーが2本使いで85dBだから、能率はやや低め。と書いた次第です。釈迦に説法を失礼致しました。

そうそう、このウーファーはアラミド繊維の織布と不織布のラミネート振動板を採用。しかもセンターキャップ部分まで一体で製造しています。黒色だから、見た目にはカーボンのようにも見えます。そういえば、昔々の紙にカーボンを混紡していたコーンがあって(何年前の話かって?失礼致しました。そういうあなたはベテランですね)短いカーボン繊維がパラパラと落ちてきたものでした。この振動板は軽くて、丈夫で、しかも鳴きが少なく、また、その鳴きも素直です。この傾向は音質に顕著に現れ、明るくて、実に軽々と低音が出てきます。パンチの効いた音ではなく、ナチュラルな音。これ、つまり、入力信号に対して忠実度が極めて高いのではないでしょうか。中域、高域に対しても高い整合性を持っています。


これだけ、たいした内容の製品ですが、朝倉個人としては、「カタログ」に不満を持っています。簡単に言うと、カタログから得られる情報量が少ないと思うのです。美辞麗句を並べろといっているのではありません。せっかくの優れた製品なのに、良さを伝えるにはあまりに文字数が少ないと感じています。紙ベースではスペースが足りないのなら、web上で製作者のトークを載せてください。他の業種でたとえるなら自家用車。ホンダ技研のHPでFACT BOOK(詳細技術情報)のイメージが妥当と思います。興味の無い人は見ませんし、パイオニアのようにしっかりした企業は、私たちユーザーにもっと勉強する機会を与えてください。うわべの情報ではなく、価値のある真実を知りたいと願っています。マニアの願望をかなえようと努力する心意気に共感して、結果として製品を買っていただけるのだと思います。
作る立場と使う立場は違いますが、趣味は同じなのですから、もっと楽しみましょう。これだけは強くお願いします。パイオニアがんばれ。

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